赤痢アメーバ:エントアメーバ・ヒストリティカ(Entamoeba histolytica)、内アメーバ科に属し、生活環の中で3つの型(栄養型、前シスト、シスト)が区別できます。
栄養型(trophozoite)は発育型で一定の形態をもたないがほぼ円形です。運動時には、単一でかなり特徴的な葉状の仮足(lobopodium)を活発に出し、ほぼ同じ方向に移動します。
新鮮な下痢便または赤痢便を保温状態で観察すれば運動がみられます。
栄養型のおおきさは株と発育期によって異なりますが、直径15~50㎛です。核の形状は類似のアメーバとの区別点の1つです。すなわち、核は通常1個で、ヘマトキシリンで染色すると水泡状で、周囲が濃く、中央部が薄く染まる。
核の周縁の核膜の直下に好塩基性の顆粒があり、周辺染色質と呼ばれます。さらに、核の中心近くにカリオソーム(karyosome、エンドソーム endosome)があります。周辺染色質の存在と、カリオソームの位置が赤痢アメーバの同定上の特徴と考えられていますが、これらの特徴にはかなり変異があり、特に培養個体では著しい。
細胞質は透明な外質と顆粒状の内質に区別されますが、アメーバ赤痢の急性症のときの虫体ではこの区別が不明です。
食胞(food vacuole)には摂取された赤血球とその残体がみられることがあり、赤痢アメーバの特徴の1つです。
前シスト(precyst)は栄養型とシストとの中間の期で、栄養型よりは小形で細胞壁によって囲まれ、運動性はありません。シスト(嚢子 cyst)は円形ないし卵円形で、運動性はなく、厚さ約0.5㎛の細胞壁に囲まれ栄養型より小さい(10~20㎛)
核の数は成熟の度合いによって1個、2個ないし4個です。
前シストとシストの核は栄養型のものに似ていますが、赤痢アメーバの特徴は失われています。幼若シストには1個のグリコーゲン胞と数個の好塩基性の類染色質体が含まれていることがあります。
この棒状の類染色質体の両端が鈍円であることも赤痢アメーバの特徴の1つです。
類染色質体は老熟シストでは消失します。
宿主はヒトですが、その他の脊椎動物(サル、牛、豚、犬、猫、ネズミ)からも報告されたことがあり、これらの動物はヒトへの感染の際の保有宿主となることも考えられます。
実験的にはハムスター、ジャード(jird)、チンパンジーにも感染します。寄生部位は大腸(回盲弁から直腸まで)ですが、他の器官、特に肝臓に寄生することがあります。
全世界に分布し、熱帯地方に多いといわれていましたが、分布を左右するものは気候的なものよりも環境衛生的要因がおおきい。
赤痢アメーバにはいくつかの株があり、抗原性、培養温度、病原性、生化学的性状などに差異があります。従来、小形種といわれたものは別種(E.hartmanni)として取り扱われることがおおい。
赤痢アメーバ ~ 寄生部位は大腸(回盲弁から直腸まで)ですが、他の器官、特に肝臓に寄生
肉質鞭毛虫類
