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甘藷黒斑病菌 ~ 菌形態・培養・培養法・甘藷黒斑病の歴史

甘藷黒斑病 家畜中毒

 
 

菌形態

 
 
病変部表面の黴細黒色部をルーペで検すれば、剛毛の基部が球状に膨大し、長頸のフラスコ状を呈し、これは所謂クワイ黴と称する子嚢殻です。
 
 
更に検鏡すれば、菌絲は細胞内あるいは細胞間隙に蔓延し、多くは分岐し隔膜があり、幼弱なものは無色ですが老成すれば帯褐色となり内容著しく顆粒状を呈し幅2~3μに達します。
 
 
被害部表面の菌糸の先端または分岐上に長桿棒状の担子梗を生じその内部に内生分生胞子を形成します。
 
 
内生分生胞子は円筒形、無色、単胞で内部に大小不同の顆粒を含みます。
 
 
病患部皮下組織内に厚膜胞子を単一または数箇連鎖状に形成します。また病患部の表面、黒色長頸フラスコ状の子嚢殻内部の子嚢中に無色、球形の子嚢胞子を蔵しています。
 
 

培養

 
 
本菌は馬鈴薯寒天培養基その他に容易に発育し、初め白色の菌叢を生じ、後に黒変し1~2週間で上述の3種の胞子を形成します。
 
 

培養基の製法

 

(1)糖加甘藷乳剤寒天培養基、健全甘藷をよく洗い、1,000倍昇汞水に30分間浸漬した後、流水でよく洗い乾燥剥皮し、高圧釜で約2時間滅菌蒸熟したものを滅菌ガーゼで包み圧出し、次の割合に寒天その他を混ぜ、更に2回滅菌します。

 
 

蒸熟甘藷10.0g、蒸溜水90.0g、食塩0.5、寒天2.0、精製水飴5.0

 
 

馬鈴薯寒天培養

 

(2)基健全な馬鈴薯を洗い1,000倍昇汞水に30分間浸漬後流水で洗い、乾燥剥皮し、200gを採り細挫しコルベンに入れ蒸溜水を注加して1ℓとします。
 
 
これを高圧釜で滅菌してその上澄液をとり更に蒸溜水を加えて1ℓとし、次で寒天15g、ブドウ糖20gを加え溶解後脱脂綿で濾過し、再び高圧釜で1時間宛2回滅菌します。

 
 

培養法

 
 
罹病甘藷をよく洗い、乾燥後表皮を薄く剥ぎ、黒色部約2gを滅菌した乳鉢にとり、滅菌蒸溜水を加えてよく摺り潰し、ペトリー氏シャーレ内に前記の培養基を入れたものに塗抹する平板培養法を行います。
 
 
発育に要する最適温度は略々24℃で(最低約2°、最高41°)、湿度は60%迄は増加するに従い良好ですが、それ以上では却って発育を害する。
 
 

甘藷黒斑病の歴史

 
 
1890年アメリカNew Jerseyで初めて発見され、その後各州に蔓延し、次でニュージーランド、豪州、ハワイ、南洋、南米などに発生し、Sweet potato black rotと称され古くから知られていましたが、本邦では比較的最近で昭和11年鹿児島県下において中田覚五郎教授により発見され、翌12年には千葉県、、同14年には東京、神奈川、埼玉、茨城、群馬、山形、福島、愛知、石川、愛媛、大分、佐賀、長崎、熊本、鹿児島の各県下に分布し、現在では各地に蔓延してこれの防除に困難を極めています。

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