臍炎(omphalitis)
臍およびその付近の組織に発生する炎症で、初生畜の臍帯断裂後にしばしばみられ、牛馬に多発します。
原因:臍帯断端の感染による。臍帯の自然断裂直後にはなお湿潤し、血管の断端付近に凝血が存在するため、感染が生じやすい。
特に臍動脈の退縮不全、臍輪部の粗鬆な結合組織の存在、臍帯断端が短すぎること、雄畜の場合の尿による汚染などは誘因となります。
症状:臍帯の断端が壊疽におちいり、黒褐色となって悪臭をはなち、炎症が周囲組織に蔓延し、腫大し硬固となる。壊疽におちいった臍帯が脱落して潰瘍となることがあります。
すべて付近にフレグモーネ、膿瘍を発生しやすく、時には腹膜炎を継発する。
臍帯の血管断端に生じた凝血に細菌が感染する時は炎症がその周囲に蔓延し、腫脹、膿汁分泌するが、主に局所的で全身症状を欠く。
しかし、炎症は深部に侵入しやすく、太い索状物となり、瘻孔を形成し、さらにすすめば腹膜炎、敗血症、膿毒症を継発し全身症状を現すことがあるので、予後は慎重を要します。
馬は分娩後、臍動脈が後退しないので、臍動脈炎を発しやすく、牛の静脈は動脈のように後退しないので、臍静脈炎をおこしやすく、さらに肝臓、その他の臓器および関節に病巣が転移することがあります。
治療法:分娩後の消毒処置を十分にほどこし、本症の発生を予防することが大切です。なるべく早期に発見し、病的組織や血液凝塊を除去し、断端を消毒する。
全身的に化学療法をほどこす。潰瘍が形成された時は消毒、硝酸銀の腐蝕などを行う。血管の炎症が発生すると、化膿が深部におよび、また転移をおこすことが多い。
化膿したりまたは膿瘍を形成した場合には、原則として患部を丁寧かつ完全に摘出する。病巣を切開・掻爬するなどの粗暴な操作でいたずらに血行性感染のもとを作り、多発性関節炎や骨髄炎の原因とならぬよう注意が肝要です。
さらに全身的に化学療法をほどこす。なお腹膜炎が発生したおそれがある時には、徹底的な化学療法と対症療法を励行する。
臍瘻(umbilical fistula)
尿膜管瘻urachal fistula(umbilical urachal fistula):子馬に多発し、子牛には少ない。分娩の際に離断された尿膜管が、そのまま閉鎖しないで、尿または粘液を排泄するもの(先天性)と、尿膜管が閉鎖不十分で、初期には障害を伴わないが、その状態が持続すると、ついに尿を排泄するようになるもの(後天性)とがあります。
瘻孔を腐蝕焼烙してもあまり効果はない。尿膜管を結紮するか、開腹手術を行って、尿膜管を切除する。なお、排尿障害があれば、その原因を除去しなければなりません。
後天性臍瘻(Acquired umbilical fistula):胃瘻または腸瘻がたまたま臍部にできた場合、あるいは、特に臍ヘルニア手術の失宣によって脱出腸管を傷つけて、後天性に臍瘻を生ずることがあります。

