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肛門の疾患 ~ 検査法・肛門亀裂および肛門脱・肛門部の腫瘍・肛門嚢炎および肛門周囲腺炎

肛門の疾患 ~ 検査法・肛門亀裂および肛門脱・肛門部の腫瘍・肛門嚢炎および肛門周囲腺炎 肛門の疾患

 
 
直腸につづく消化管の末端部であって、直腸粘膜-肛門直腸線linea anorectalis – 肛門粘膜 – 肛門皮線linea anocutanea(肛門中間帯zona intermedia)- 肛門皮帯zona cutanea – 皮膚と並ぶ。
 
 
犬および猫では、肛門皮帯に肛門周囲線GII.circumanales, および肛門旁洞sinus paranalis(肛門嚢anal sac. 肛門皮線に近く左右2個)がある。
 
 
豚・犬では肛門粘膜は肛門柱帯zona columnaris aniを形成している。また内肛門括約筋M. sphincter ani internus, 外肛門括約筋M. sphincter ani externus, 肛門挙筋M. levator aniなどの筋肉がある。
 
 
排糞運動:結腸通過に伴い、腸内容は次第に水分を失い、直腸において固形化する。糞塊によって直腸粘膜が拡張刺激をうけると、神経を介して腰髄の排糞中枢は興奮する。
 
 
その結果、反射的に内・外肛門括約筋は弛緩し、直腸の蠕動運動は高まる。また大脳が同時に刺激され、腹筋・横隔膜・肛門挙筋は緊張し、声門は閉塞する。
 
 
すなわち努責がおこって、腹圧は上昇する。かくして排糞が行われる。したがって、一定の条件がととのわないと排糞は妨げられる。
 
 
肛門括約筋が2ヶ所以上切断されると糞の失禁fecal incontinenceがおこり、また直腸が全面切除されれば、排糞反射はおこらないといわれる。
 
 

検査法

 
 

a.:排糞状態の観察、糞便の検査、その回数と量を測る。

b.:直腸検査および肛門の視診・触診

c.:X線検査、肛門鏡検査

 
 

肛門亀裂および肛門脱(fissure and prolapse of the anus)

 
 
硬い糞塊、肛門内面上皮の浮腫、肛門括約筋の弛緩不全などにより肛門内面に亀裂を生じた場合、肛門亀裂という。排糞時に疼痛あり、出血することがあります。
 
 
亀裂が長期におよべば糜爛・潰瘍を生じます。
 
 
肛門括約筋の弛緩、内圧の上昇などによって、肛門粘膜および肛門皮帯すべてが脱出したものを肛門脱(脱肛prolapsus ani)といい、肛門粘膜のみが脱出した場合は、肛門粘膜脱prolapsus ani mucosaeという。
 
 
また、さらに直腸が脱出すれば直腸脱prolapsus rectiとなる。
 
 

肛門部の腫瘍(neoplasms of the anus)

 
 
肛門の周囲には腺腫(犬の肛門周囲腺)、癌腫(馬、犬)および非常にしばしば黒色腫(多数の腫瘤を形成)が生ずる。
 
 
(ⅰ)症状:直腸の腫瘍の場合と異なり、目撃することができる。時には肛門の変位をおこし、そのため排糞困難、糞便停滞をおこすことがあります。
 
 
(ⅱ)治療法:直腸の場合とほぼ同様ですが、目撃しつつ剔出ができる。芦毛馬に発生した黒肉腫は、むしろ何らの処置もほどこさないほうがよいとされています。これは手術によって剔出しても再発の傾向が強く、しかもその時には急速に発育するからです。
 
 

肛門嚢炎および肛門周囲腺炎(inflammation of the anal sacs and perianal glands)

 
 
肛門嚢炎:犬に頻発する疾患の一つです。なかに分泌物が充満し、肛門嚢は拡張し、しばしば化膿して膿瘍に転じ、疼痛が著しいため排糞困難、便秘の原因となる。
 
 
時には肛門の側方に破壊して肛門瘻を形成することがあります。
 
 
肛門嚢内に分泌液が充満すると、犬はその刺激のためしきりに肛門をなめ、または尾を地面にすって動きまわる(scoot)。この時にうまく内溶液が排出されることがあります。
 
 
肛門から指で内診すると、拡大された肛門嚢に触れる。静かにマッサージを行った後、嚢を圧迫すると悪臭のある濃厚な内容物が奔出する。
 
 
肛門周囲腺炎、肛門周囲の腫瘍、直腸憩室などとの鑑別診断を行う必要があります。
 
 
治療法:肛門嚢の内容を圧出した後、微細なカテーテルを用いてヨードチンキ、または化学療法剤を注入する。これらの処置に反応しない頑固な慢性炎がある時は、肛門の斜下方に切開をほどこして肛門嚢を摘出する。
 
 
肛門周囲腺炎:この部には腺腫が発生することがめずらしくありませんが、またしばしば炎症を発する。患部は炎症のため腫脹し、圧痛があるため、排糞困難となり便秘する。
 
 
帯痛性の波動を呈する帯青色の小膿疱または膿瘍が形成され、また肛門開口部のすぐ近くに不規則な潰瘍を生ずることがある。
 
 
治療法:膿瘍切開、潰瘍の切除を行い、あとに十分の局所洗浄法と化学療法をほどこす。治りにくい疾患です。

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