リンパ節炎(lymphadenitis)
動物体に病原菌や毒素が侵入するときは、血行あるいはリンパ行を介して随所にリンパ節を侵して、リンパ節炎をひこおこしやすいものです。
リンパ節炎は、侵入した病原体の種類によって症状を異にし、その経過から大別すると、急性リンパ節炎および慢性リンパ節炎の二つに分けることができます。
急性リンパ節炎(acute lymphadenitis):一般に末梢部の創傷や染毒創から病原体、特に化膿菌がリンパ管を介して局所のリンパ節に侵入して発生することが多い。
たとえば四肢の末梢の化膿性疾患においては、しばしば腋下リンパ節炎や鼠径リンパ節炎を、また鼻カタル・化膿性歯槽骨膜炎・咽喉頭炎・喉嚢カタルなどの場合は、それらの近在のリンパ節たとえば下顎リンパ節や耳下腺下リンパ節、咽背リンパ節などの炎症をひきおこしやすい。このほか馬においては、腺疫・鼻疽・仮性皮疽などの伝染病の経過中に発生する。
急性リンパ節炎は、リンパ節の存在部位に熱感圧痛を伴う卵円形の腫脹硬結を認め、リンパ節周囲炎perilymphadenitisをおこしやすく、体温の上昇および元気食欲不振などの全身症状を伴うことが多い。
リンパ節が化膿機転をとる場合は、これを化膿性リンパ節炎purulent lymphadenitisと呼ぶ。リンパ節の腫脹はしばしば化膿熟成・壊死を伴い、軟化波動を呈して、リンパ節膿瘍lym-phatic abscessを形成し、自潰して自然治癒を営むことがあります。
なお、一般にリンパ節炎はそれをひこおこした原病が治癒すれば、リンパ管炎と同様に、自然に治癒する傾向がある。治療は原病の処置および化学療法を行い、局所に対しては、初期は冷罨法を試み、化膿の徴候のあるものは、温罨法または皮膚刺激薬を塗擦し、膿瘍を形成したものには、切開排膿の処置をほどこす。
慢性リンパ節炎(chronic lymphadenitis):一般に末梢部の慢性炎症、たとえば慢性湿疹・皮膚炎・褥創・齲歯・潰瘍・放線菌病・ブドウ菌病・睾丸炎・上顎洞蓄膿症・子宮蓄膿症・前立腺炎および腫瘍などの場合に、近在のリンパ節に慢性炎症をひきおこす。
また、リンパ肉腫や白血病および牛の結核病においては、体表各所のリンパ節が腫大する。慢性リンパ節炎においては、一般にリンパ節の腫脹は比較的硬いが、熱痛を欠く場合が多く、原病の回復に伴い次第に治癒する傾向を示すものです。
治療はまず原病の処置をはかり、罹患リンパ節の摘出もしばしば行われる。
リンパ欝滞(congestion of lymph):胸管ductus thoracicusなどに癌が転移して発生する。また、人の糸状虫症の場合、乳糜性腹水chylous ascitesや乳糜尿chyluriaが起り、四肢の皮下結合織では結合織の増殖により象皮病elephantiasisを発生する。
