喉頭痙攣(laryngospasm)
披裂喉頭蓋ヒダが内方に垂下し、声帯ヒダが内転して、上部喉頭腔が狭窄するのが特徴で、鼻腔、咽頭、喉頭あるいは気管粘膜の刺激によっておこる一種の反射的反応で、犬、猫に知られ、大動物ではあまり明らかでない。
浅い全身麻酔のある時期に発するとされます。たとえば、高濃度の吸入麻酔薬を急に吸引した時、クラーレを投与した時などで、またバルビツレートは直接喉頭痙攣をおこすことはないが、粘膜の刺激感受性を高めるとされる。
無理に性急に気管チューブを挿入しようとすると、不規則呼吸、嚥下運動、咳嗽がおこり、また痙攣をおこしやすい。局所麻酔またはアトロピン前処置によって痙攣の発生を減少させることができる。
また筋弛緩薬と換気を十分にした上で、気管チューブを挿入することは予防効果がある。猫は特に呼吸困難を発しやすいので注意を要する。喉頭切開術laryngotomyが適応となる。
喉頭切開術の要領としては、通常全身麻酔の下で、喉頭部の腹面正中線の皮膚、皮下織を切開し胸骨舌骨筋を鈍性に分離して喉頭の軟骨壁を露出する。
輪状軟骨の前端から甲状軟骨体を切離し、開創器で拡大して、喉頭腔を露出する。
異物、閉塞物を摘出するとともに、声帯の腫瘍などを切除しうる。
創縁は逆に順次閉鎖していく。
無声手術(声帯除去手術)devocalization, debarking, ventriculocordectomy
多数の犬を集団的に飼育する場合、人家のなかで犬を飼育する場合、あるいは声帯腫瘍などの場合、その他ロバ、馬の叫鳴防止、山羊・猫の鳴声防止の場合などにも本手術が考慮されます。
術式:これまで多くの試みがなされましたが、(ⅰ)口腔から長柄の耳鼻鉗子を用いて、十分開口して、声帯ヒダを切除する法(一般に犬などに)、(ⅱ)仰臥または側臥で気管腹面を切皮で、輪状甲状靭帯部から進入して、声帯切除を行う法(猫、山羊にも良いといわれる)、(ⅲ)気管の甲状腺下方において、反回神経を切除、結紮あるいはアルコールを注入する法、(ⅳ)背喉頭神経を切除する法(副作用が少ないとされる)などがあります。
一般に声帯は、その成長、発育および再生が特異的で、永久的に完全な無声効果を期待することは困難とされる。犬では通常4ヶ月齢以降のものに実施するようにすすめられますが、術後数年で再び発声するようになることが少なくないといわれる。
また術後の飼養管理に十分留意することが肝要とされます。

