口腔の検査法(examination of the mouth)
口腔は唇と頬によって囲まれ、歯牙、舌を含む口蓋から咽頭に至る部分で、消化器系の起始部として重要な役割を占める。一般に口腔の検査に対して動物は協力的でないから、綿密な検査には、安全な保定と十分な開口が不可欠です。
主に視診と触診によって検査しますが、時にX線を併用することもある。まず皮膚の上から顔面を触診して腫脹、熱感、疼痛ならびに付属リンパ節を検査します。
次いで唇、頬を反転して歯牙、歯肉を検査し、さらに開口器などで十分開口させて、舌、口蓋、咽頭、扁桃を診る。また歯牙疾患は口腔粘膜の異常に関連が多く、刺激性薬剤、冷飲水、異物(穀類、毛髪など)なども口粘膜の炎症をきたしやすく、特に犬などでは、レプトスピラ症などの全身性感染病から口粘膜の潰瘍などを生ずることが多い。
口内炎(stomatitis)
口腔粘膜の炎症をきたすもので、局所的には外傷、異物、手術失宣、薬物、温熱刺激などから発し、全身的には、腎疾患、尿毒症、ビタミン欠乏症、重金属中毒、カンジダ症、バンサンスピロヘータ、その他から発する。
症状:口粘膜の紅潮、腫脹、カタル、流涎、採食拒否などから口内臭、飢餓、脱水症状をみることがある。さらに口内糜爛、水疱、潰瘍あるいは痂皮を形成することがあります。
治療法:原因のすみやかな除去、冷食塩水、硼酸水などによる口内洗滌、軟飼料の供与、0.1%過マンガン酸カリ、ルゴールグリセリン液塗布を行う。
口腔内の異物、腫瘍(foreign bodies and tumors in the oral cavity)
犬、猫は、その食性から木片、骨片、石、とげ、尖鋭物、ゴム類などが口内に嵌入、穿刺することが多い。一般に採食困難、流涎、口臭、あるいは動物はこれを取ろうとして頸を振ったり、肢で口を引っかこうとする。
狂犬病発生地では、口内異物の存在には慎重でなければならない。
口粘膜には、乳頭腫、線維腫、黒色腫、癌腫、肉腫などの発生が知られています。特に各動物の唇、歯肉粘膜の乳頭腫は少なくない。また牛の放線菌腫(木舌)、犬、猫の化膿性肉芽腫なども類似のものとしてよく知られている。
悪性の場合は口内悪臭、流涎、食欲不振、削痩などが顕著となり、潰瘍から拡大蔓延することが多い。犬の乳頭腫症は数か月の経過で自然に消失することが多い。
