この系の利尿薬は遅効性です。
スピロノラクトン(spironolactone),アルドステロン拮抗薬
副腎皮質から分泌されるアルドステロンは腎集合管でのNa⁺の再吸収を促進し、尿中へのNa⁺排泄量と尿量を減少させる。したがってその拮抗物質は利尿作用を持つ。
薬理作用
スピロノラクトンはアルドステロンの細胞原形質内受容体で競合的に拮抗してNa⁺の再吸収を抑制するが、再吸収が抑制されるNa⁺はK⁺との交換可能なイオンです。
スピロノラクトンはアルドステロンが存在しないと作用しない。
スピロノラクトンの利尿作用は遅発性で、経口投与後24時間後に現れ、2~3日間続く。利尿作用は弱いが、Na⁺の排泄が促進され、K⁺の排泄は抑制され、HCO₃⁻の排泄は増加する。
したがって尿のpHは上昇するが軽度です。
スピロノラクトンの利尿作用では用量依存性が明確でない。
臨床応用
スピロノラクトンは他の利尿薬に対して抵抗性の水腫に用いる。単独で用いることもあるが、他の利尿薬と併用することもある。
連用すると高カリ血症を併発することがある。また経口投与で用いられる。
トリアムテレン(triamterene)
トリアムテレンなどの利尿薬はスピロノラクトンと殆ど同様な作用を持つが、アルドステロンと無関係に作用する。
体内動態
経口投与すると急速に吸収される。血清蛋白とは50%程度結合する。腎では糸球体濾過と近位尿細管からの分泌によって排泄される。
尿中排泄は経口投与後1~2時間が最高であり、6時間後には投与量の殆どが排泄される。体内代謝率も高いが、代謝物の尿中排泄も速い。
このように体内消失の速やかな薬物であるのに作用は遅効性で、ヒトでは1~3日にわたって作用すると報告されています。
家畜ではそれほどは遅効性でなく、投与後3時間程度から利尿作用が現れ、数時間続く。但し、1日3回の投与を続けると2~3日目から強い効果が認められる。
薬理作用
トリアムテレンの利尿作用はスピロノラクトンの作用と極めて類似しており、遅発性、K保持性、pH上昇性です。
作用機序(電位を変化させる)
遠位尿細管後部と集合管(Na⁺:K⁺=3-1)の上皮細胞の細胞内は電気的に管内より陰性であり、この電気的勾配によってNa⁺を再吸収する。
遠位尿細管細胞の陰性はアルドステロンの支配を受けないが、集合管細胞の陰性はアルドステロン依存性で、アルドステロンが存在しないと陰性でなくなり、Na⁺が吸収できなくなる。
スピロノラクトンはアルドステロンと拮抗するので集合管細胞の電気的陰性を抑制する。
トリアムテレン(アルドステロンとは無関係)は集合管細胞に直接働いて電気的陰性を抑制するが、遠位尿細管細胞の電位には影響しない。
この結果、集合管に対してはスピロノラクトンもトリアムテレンもNa⁺の吸収を抑制し、間接的にK⁺やH⁺の分泌を抑制する。
スピロノラクトンと同じ。

