ループ利尿薬は高用量での利尿効果が他の群の利尿薬の最高効果よりかなり高いので高最高効果利尿薬(high ceiling diuretics)とも呼ばれています。
最高効果では糸球体濾過量の1/4を排泄させるので、生理的な尿排泄速度の20倍にも相当する。代表的薬物はフロセミドです。
吸収・体内動態
経口投与しても筋注しても極めて急速に吸収される。
吸収された薬物の血漿蛋白との結合率は極めて高く、肝・腎以外の組織には殆ど分布しない。肝からは胆汁を通じて小腸内に分泌され、腎では近位尿細管から分泌される。
いずれの場合にも再吸収されるので消失半減期は40~50分程度です。
尿細管での再吸収率は管内pHに依存するので肉食動物では高く、草食動物では低い。したがって草食動物では排泄が速く、作用が短くなる。
体内代謝率は低い。排泄総量の2/3は尿中へ、1/3は糞中へ排泄される。
薬理作用
利尿作用の発現が速やかで、経口投与で20~30分後、静注では数分後に利尿反応が始まる。持続時間は6~8時間です。
ループ利尿薬は尿量とNaCI排泄を増加させるが、体液の酸塩基平衡には影響せず、またアシドーシスやアルカローシスでも有効です。
尿中のK⁺濃度も上昇するが、遠位尿細管へのNa⁺流入量の増加による二次的作用だと考えられている。
静注すると直後に静脈拡張作用が現れ、肺の組織液や血液を肺静脈に移行させる。
この作用は急性の肺水腫や左心室不全、馬の鼻血(肺出血)の治療に用いる論拠になっている。
フロセミドは近位尿細管の酸能動輸送系によって管内に分泌されるが、この分泌量は利尿効果と相関する。
管内に出たフロセミドは上行脚の腔側膜のNa⁺・K⁺・2CI⁻共輸送系のCI吸収部に結合してNaCIの吸収を抑制して利尿作用を現すと考えられている。
臨床応用
ループ利尿薬は重症腎疾患でも有効な唯一の利尿薬群です。ヒトでの使用経験では血清クレアチニンが8mg/dlのような重症腎疾患でも有効であると報告されている。
ループ利尿薬の利尿作用は極めて強く、最高用量では糸球体濾過速度の25%の速さで尿が排泄される。
この利尿作用は用量依存性であるから臨床的には最高効果よりかなり低い(1/3~1/5)効果を示す用量が用いられる。
フロセミドは現在最も多く用いられる利尿薬であり、犬の腹水、牛の乳房浮腫など各種の水腫に用いられますが、速効性の点では肺水腫の治療効果も高い。
馬の鼻血(運動性肺出血)の発生予防に用いられますが、一部の馬には無効であると言われている。
欠点として、塩類過剰とか水分過剰のような浸透圧異常のある個体でも等張に近い尿を排泄させるので、異常を悪化させる可能性がある。

