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顎口虫症(症状・予防) ~ 食欲不振、嘔吐、貧血、衰弱が主な症状

有棘顎口虫 線虫類

 
 
有棘顎口虫は熱帯・亜熱帯のアジアに広く分布し、特にタイ、ビルマ、中国(中南部)に多く、本邦では九州、四国、中国、近畿、中部その他にみられます。
 
 
昭和27年の調査では、福岡、佐賀で猫に35.1%、犬に4.0%の寄生が報告されています。犬、猫では幼虫の体内移行に際して肝臓組織が破壊され、肝細胞は圧迫され、委縮し、虫道に出血がみられる。
 
 
また、成熟虫の寄生により、胃壁に母指頭大の肉芽性の嚢性腫瘤を形成し、これが腹腔に破綻すると死亡します(死亡率は高い)。食欲不振、嘔吐、貧血、衰弱が主な症状です。
 
 
日本顎口虫はイタチに寄生し、近畿、中部に多く、九州、四国にもみられます。香川のイタチに42.4%の寄生がみられるとの報告があります。
 
 
本虫はイタチの食道に寄生し、胃にはみられない。胸部食道の心基部付近に大豆大、指頭大または鳩卵大の多様な形状がみられます。質の硬い腫瘍状結節を形成し、結節は食道内腔に開孔します。
 
 
結節は1個まれに2個であり、これに数匹から十数匹の虫体が寄生しています。腫瘤は肉芽組織が大部分で結合織に富み、軟骨組織の新生がみられます。
 
 
重度寄生では死亡します。
 
 
ドロレス顎口虫は野猪に寄生し、フィリピン、インド、マレーシア、ベトナム、タイ、ニューギニア、台湾にみられます。本邦では静岡以西の中部、近畿、中国、四国、九州の各地に広く分布しています。
 
 
豚にも寄生しますが、少なく、東京、熊本の屠畜場で記録されています。
 
 
虫体は、前体部を深く胃粘膜にさしこみ、粘膜の激性炎と胃壁の肥厚、潰瘍を生じます。
 
 
虫体は1匹または2~3匹みられることがおおい。また、豚の肝臓、血管、気管支に幼虫を発見することもあります。豚の症状は不明なことが多く、重度に寄生すれば食欲不振、嘔吐、軽度の栄養障害を生じます。
 
 

●ヒトの皮膚顎口虫(cutaneous gnathostomiasis)
 
 
本邦で注目されるのは、人体にみられる皮膚顎口虫症です。ヒトに有棘顎口虫の幼虫が嚥下されると、固有宿主ではないので幼虫は成虫にまで発育せず、体内を移行します。
 
 
感染後、皮膚症状の出現までの潜伏期間は3~4週間が最も多く、4年以上におよぶものもあります。虫体の皮下出現に先立ち、幼虫の胃壁穿孔および肝臓への侵入により、上腹部の痛み、悪心、嘔吐がみられます。
 
 
遊走性、限局性に皮膚は腫脹し、移動性線状匍行疹、移動性斑点状発疹と呼ばれます。特に腹部に多くみられます。その腫脹は1週間くらいで消失し、再び現れます。熱感、痒感、軽痛まれに激痛を伴います。
 
 
虫体の侵入部位により眼瞼腫脹、開眼不能、唇および舌の障害(会話不能)呼吸困難、排尿障害、昏睡、視力障害、血痰、血尿を表す。
 
 
白血球ことに好酸球の増加、血清IgEの増加がみられます。
 
 
本症と肺吸虫症との鑑別が重要であり、免疫電気泳動、皮膚アレルギー反応が応用されます。本症はラングーン腫(ビルマ)、長江浮腫(中国)などとして知られています。
 
 
有棘顎口虫以外の顎口虫による、人体皮膚症はいまだ知られていません。

 
 

顎口虫症の予防

 
 
第2中間宿主または待機宿主の生肉を禁ずることです。
 
 
人体への主要な感染源として淡水魚(ライギョ、どじょう等)、鶏、アヒル、カエルなどが報告されているので、これらの生食には充分に注意します。
 
 
近年、台湾、中国、韓国から輸入ドジョウに顎口虫幼虫が検出され、生食による人体症例が報告されています。

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