土佐の尾長鶏

尾長鶏
尾長鶏


尾長鶏は朝鮮から来たものだという人もいますが、土佐の人々が東天紅とか小国から作出したものと見る可きで、日本だけにしかいない鳥で、欧米人には非常に高価で此れを買い求める人がいますが、今は特別天然記念物として、保護されています。


尾の長さは3mから10mに及ぶ物もあり、之は1年で1m位は伸びるのです。


種類としては小国型の白藤を最優秀種とされ、純白の白色型、アカエリ野鶏型の赤笹等があります。


チャボの方でうずらチャボと称する無尾で尾骨まで欠いている物とは、尾長鶏は好対称という可きです。発生はそう古いものでなく、徳川末期頃の様です。


大概の鳥は換羽期があり、尾羽は抜け変わって新羽になるのですが、尾長鶏と称されるものにおいては、尾羽は年中換羽せず、伸長を続ける為にこのような珍種が出来るのです。


然し、尾が長くなれば歩行の際、足や器物に巻き付き、又地面に擦れて折損してしまいますから尾を長くするには特別の飼育箱を用意する必要があり、伸長途中で死なせない様に育てるには可なりの苦心が入り、3m位迄はまだ宜しいが、其れ以上のものを作出することは難中の難事です。


尾長鶏の卵は普通鶏同様に春夏の候は毎日産み、其の有精度も比較的良く、雛も沢山孵すことが出来るに拘らず、此れが段々絶滅しつつあり、天然記念物として保護を必要とする様になりました原因は、此の鳥は近親繁殖の繰り返しで、体格が悪くなり育ちが悪く、死亡率が高いこと、又尾を長くする為には狭い箱に入れて、棲り木上に絶えず止めておく必要があり、此れがために著しく運動不足に陥り、健康を損ずる事が原因ですが、更に尾を長くしようという趣味の人の数が著しく減少したことも重要な原因だと考えられます。


此れが復興の第1歩は尾を長くしようという熱心な管理者、つまり趣味の人の数の増加を図る事だと思いますので、一人でも多く此の鳥を飼って下さる様お願致します。


そして、此の日本の象徴ともいえる尾長鶏を絶滅から救い、増産しなければなりません。


尾長鶏の飼料は蛋白質含量の少ない配合にします。


其れは運動不足の飼育箱の中では蛋白質を多給すれば、肥満して来て良くないからです。青米とか中米を主食として、此れに養鶏マッシュを半分くらい加えます。


幼鳥の場合は幼雛用マッシュを配合します。此れに野菜を多給するのです。産卵は毎日、此の鳥は朝の事が多いのですが、致します。卵は白色で食用卵に比較して小さいものです。


重量36g、大きさ4.8cm x 3.6cm


産卵は年中します。雌は自分で抱卵もしますが、電気孵卵器で孵すことも結構です。一般実用鶏と同様21日で孵化します。


孵った雛の餌付け、育雛は皆、雉の場合に述べたと同様です。最初の1ヶ月はチックフードで育て、2ヶ月目から中雛用飼料にかえるのです。1ヶ月を過ぎる頃から雌雄の区別が判明して来ます。


生後6ヶ月位で尾が30cm位伸び地面に引きずる時分になりました時に、雄には抜尾という事をするのです。


即ち、尾を全部根元の筒から抜き取ってしまうのです。


次に伸びてきたものを永久伸長させるのです。此の抜尾操作が大切で、此れを行わないと最初に伸びた尾は数年後に脱落することがあり、又、生えた尾も抜尾後の新尾の方が立派で丈夫です。


抜尾後、再び尾が地面に引きずる位に伸びた頃から、特殊な専用飼育箱を作り、此の棲り木に止める練習をします。


勿論尾長鶏は尾を伸ばすものと、繁殖用の種禽用とに最初から区別しておく必要があります。


両者共に重要なのですから、尾を伸ばす雄には良いものを選び、繁殖用には悪いものを当てる様な事をしてはなりません。


止める要領は、予め雄を良く人間に馴らしておく事が大切です。


飼い主の腕にも静かに止まっていられるように訓練します。それから最初は止め箱へ夜間だけ止めておきます。


鳥は夜間は棲り木に登って休む習性を利用するのです。此れは比較的容易に出来ます。その次に昼間止める訓練に入るのですが、最初は短時間止めておろし、此れを毎日根気よく繰り返して止める時間を延長します。


完全に止める訓練が出来た後は、1日1回20分位、棲り木からおろして運動させるのですが、あまり長時間運動させますと、後で止めることが困難になります。


かく運動不足から、健康を損なう様に思いますが、馴らされた家禽というものは驚く程よく、此の静止状態に堪えられるものです。


従って止め中は鶏の栄養という事をよく考えて、健康状態をよく観察し、少しでも健康を損なった時は古来不思議な保健薬と言われている、ドジョウを焼いたものを与えるとか、卵を与えるとかして元気づけます。


以上は尾長鶏の尾を伸長させる方法の概略でしたが、1人でも多く、此の鳥の飼育者が増え、絶滅しないようにしたいものです。
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